環境マネジメントシステム
フジクラグループ地球環境憲章
当社グループは、1992年に「フジクラグループ地球環境憲章」を制定し、2013年4月に、「生物多様性の保全」の条項を重要な環境テーマの一つとして見直し、追加しました。
フジクラグループ地球環境憲章
制定 1992年4月 / 改定 2013年4月
前文
人類の文明は、科学技術の急速な発展とともに、飛躍的な進歩を遂げ、私たちは豊かな生活を享受できるようになりました。しかしその一方で、地球温暖化、大気のオゾン層破壊、酸性雨、熱帯林の減少、砂漠化、海洋汚染など地球レベルで環境破壊が進み、人類のみならず地球上の生命全体の存続にかかわる深刻な事態が進行しています。この地球環境問題には複雑多様化した社会システムが深くかかわっており、企業活動がその重大な要因のひとつであることは否めません。フジクラグループは、私達の事業活動が地球環境と密接な関係をもつということを深く認識し、地球環境を保護するために最大の努力を尽くします。
基本理念
フジクラグループは、『フジクラグループ全員の努力により豊かで明るい生活を確保する』との基本方針を地球的規模に広げ、経営の最高課題のひとつとして、全社を挙げて地球環境の保全に取り組んで行きます。
行動指針
企業活動の全領域で、一人ひとりが地球環境の保全を優先して行動します。
2050年の地球環境と私たちの新しい取り組み
■2050年の世界、2100年の地球環境
国際機関である経済協力開発機構(OECD)※1の予測では、2050年の世界は、世界人口は90億人以上に、経済規模は4倍に拡大し、それに伴うエネルギー需要の増大や自然資源の消費が拡大します。その結果、2050年には、地球規模でのさまざまな問題に直面します。中でも大きな課題は、1.「気候変動の激化」、2.「生物多様性喪失の加速」、3.「深刻な水不足」、4.「大気汚染の進行」の4つです。
これら4つの課題の中でも最大のものは、<気候変動の激化>で、2050年には世界のCO2の排出量が50%(2010年比)増えることなどから、最悪のシナリオ※1では地球の平均気温は今世紀末の2100年には産業革命前に比べ、3~6度上昇すると予測しています。また、「国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の予測レポート※2は、温暖化の影響は2100年以降数世紀は続くだろうと世界に警告を発しています。
※1経済協力開発機構(OECD)「環境アウトルック2050」(2012年3月)
※2国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)レポート「第5次評価報告書」(2015年10月)
■フジクラグループの約束と責任
2015年12月、196ヶ国が参加して国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)が開催され、「パリ協定」が採択されました。その成果は、“2030年に世界の平均気温上昇をプラス2度未満に抑える”“さらに1.5度以内に抑えることの必要性を言及”等、気候変動に向けた歴史的な合意となりました。パリ協定後のわが国は、2016年3月に「地球温暖化対策計画」を策定し、[長期目標]として2050年には「CO2を80%削減」(2015年比)等を決定しています。
グローバルに事業を展開する当社グループは、2009年7月に『フジクラグループCSR理念』を定めました。そのCSR理念では、『フジクラグループが果たすべき企業の社会的責任とは、フジクラグループの経営理念MVCVに基づき、「持続可能な企業経営」のために必要とされる活動と「持続可能な社会」の構築に役立つ活動から成立っていると考えています』と定めています。
現在、“地球環境は危機的状況に向かいつつある”との国際機関の未来予測があります。それに対処しようとする国連を中心とした国際社会の取り組み並びにわが国の取り組みがあります。このような国際及び国内情勢を踏まえ、当社グループは、2050年に向けた「環境長期ビジョン2050」を制定しました。
「フジクラグループ環境長期ビジョン2050」制定
フジクラグループCSR委員会は、フジクラグループ地球環境委員会他の提言を受けて、2016年7月19日に「フジクラグループ環境長期ビジョン2050」を制定し、未来に向けた取り組みをスタートしました。
フジクラグループ環境長期ビジョン2050
2016年7月19日制定
■前文
フジクラグループは、1885年の創業以来、電線ケーブル、電子配線部品、自動車電装部品など“つなぐ”テクノロジーを通じ顧客の価値創造と社会に貢献して参りました。加えて、2009年より、人にやさしい、地球環境にやさしい企業グループとして、持続可能な社会の実現に向けた「企業の社会的責任」(CSR)の取り組みを進めています。
経済協力開発機構(OECD)等国際機関の予測では、地球環境は今、危機的な状況に向かいつつあります。温室効果ガスによる気候変動に起因する異常気象は、私たちの日常生活への脅威となり、また人口増加や経済活動の増大と共に水不足や資源枯渇、深刻な大気汚染、生物多様性の劣化など、環境問題は広範囲にわたり、地球規模で深刻化しています。
このような現状を踏まえ、グローバルに事業を進めるフジクラグループは、地球市民の一員として、2050年の未来を見据え、環境負荷の最少化に向けた「4つのチャレンジ」に取り組みます。
さらに、“第4の創業”を迎える2065年には、グループの環境負荷削減を進めて、地球環境への負荷をゼロから、さらにマイナスへのチャレンジ(地球環境にプラス効果)を進めて参ります。
■2050年に向けた「4つのチャレンジ」の目標と主な活動
【チャレンジ1】工場CO2排出総量「2050年ゼロチャレンジ」
2030年は、わが国が産業界に求めるCO2削減目標以上にチャレンジ(2013年度比)
【チャレンジ2】工場の水使用の最小化と排水管理
~使わない、くり返して使う、きれいにして自然にもどす~
【チャレンジ3】工場の人と自然の共生
【チャレンジ4】資源の有効活用と資源循環
■第4の創業(2065年)に向けたチャレンジ
“第4の創業”を迎える2065年には、フジクラグループは環境負荷削減を進めて、地球環境への負荷をゼロから、さらにマイナスへのチャレンジ(地球環境にプラス効果)を進めます。
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数字でわかるグループのCSR活動(環境)
当社グループの5年間の活動の集約として、2013年度のCSR活動全体を“わかりやすい数字”で、ステークホルダーの皆様へお伝えする取り組みをスタートしました。この数字でわかる環境活動について、2015年度実績は以下の通りです。集約したグループ会社の数は国内外の主要な54社です。
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環境活動推進体制
グローバル環境活動推進体制
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地球環境委員会の様子 |
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環境マテリアリティ
環境テーマの優先付け決定プロセス
国際統合報告評議会(International Integrated Reporting Council:IIRC)が公表した国際統合フレームワークのマテリアリティを特定するためのプロセスは、「事象の特定」⇒「重要度の評価」⇒「優先付け」です。当社グループの環境テーマに対する取り組みの優先付けは、このIIRCのマテリアリティ特定プロセスをベースに、「環境事象の特定」⇒「重要度の評価」⇒「優先付け」を定期的に行ない、その優先付けに基づく取り組み内容を中心に報告書への記載を行っています。
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環境関連マテリアリティ・マトリックス
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フジクラグループ環境情報収集システム ECO-PASS
当社は、環境負荷の低減に取り組む中で、事業活動に使用している化学物質やエネルギー消費量・廃棄物量などの環境関連情報を正確に把握し課題を明らかにして事業活動の改善につなげるため、各工場・事業所に分散している環境データを個別に収集管理してきました。
2010年度より、グループ環境データ収集管理の効率化を目的として、システム化を行ない「ECO-PASS(エコ・パス)」の運用を開始しています。また、収集した情報をグループ内で共有化し分析することにより、さらなる環境負荷低減活動を進めるため、負荷状況や低減活動成果の「見える化」を行いました。
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国連グローバル・コンパクトの取り組み
当社は、2013年7月のCSR委員会(経営会議)の決定を経て、国連が提唱する「人権」、「労働」、「環境」、「腐敗防止」に関する普遍的な国際原則である「国連グローバル・コンパクト(UNGC)」への支持を表明し、同年9月3日に署名を行ないました。当社は、"各企業・団体が責任あるリーダーシップを発揮すことで、世界市民の良き一員として行動し、持続可能な社会を実現するために、10原則をベースとする世界的な枠組み作りに参加する"という「国連グローバル・コンパクト」の目的に沿って環境面においてもさまざまな活動を行なっています。
10原則に対応するグループ方針と主な活動
国連グローバル・コンパクト10原則 | 10原則に対応する方針・指針 | 10の原則に対応する活動 | |
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環境 | 原則7:環境問題の予防的アプローチ [企業は、環境上の課題に対する予防原則的アプローチを支持すべきである] |
■フジクラグループ地球環境憲章 ■フジクラグループ環境管理活動指針 ■フジクラグループ製品含有化学物質管理に関するポリシー |
・グループの環境管理活動指針で目標を設定し、目標実現をグループとして取り組んでいる ・化学物質の管理・削減、VOC管理を実施 ・環境教育、グループでライトダウン実施 ・「グループ地球環境委員会」の活動推進 ・ビオトープ「フジクラ 木場千年の森」を地域に開放、ビオトープの説明会を年2回開催 ・調達先の環境側面管理状況調査と改善要請 ・地元自治体の「在来種植栽拡大プロジェクト」に連携し活動推進 ・グループの事業所の社内監査と事業活動に伴う環境影響を評価 ・環境にやさしい製品「グリーン製品」「グリーンマインド製品」の開発、販売促進 ・製品含有化学物質管理を推進 |
原則8:環境に対する責任のイニシアティブ [企業は、環境に関するより大きな責任を率先して引き受けるべきである] |
■フジクラグループ環境長期ビジョン2050(4つのチャレンジ) ■製品含有化学物質管理規程 ■フジクラグループ生物多様性確保ガイドライン ■生物多様性で「ロードマップ2030」 ■環境負荷物質ガイドライン |
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原則9:環境にやさしい技術の開発と普及 [企業は、環境に優しい技術の開発と普及を奨励すべきである] |
■フジクラグループ環境管理活動指針 ・環境対応製品拡大指針 ・グリーン製品、グリーンマインド製品の認定・登録 |
国連「ミレニアム生態系評価」に向けて
国連は、2001年から5年に亘り、地球規模での生態系に関する環境アセスメント「ミレニアム生態系評価」※を実施しました。その報告内容によると、環境破壊事例として、20世紀末の数十年間で、サンゴ礁の約40%が壊滅或いは劣化し、マングローブ林の約35%が失われました。また生物多様性の喪失の例では、人間は過去数百年間で、地球史で自然に起きていた種の絶滅の速度より約1000倍速く生物を絶滅させてきました。
当社は、国連グローバル・コンパクトに参加し、さまざまな活動を進めています。そのグローバル・コンパクトの「10の原則」の中の一つは、「原則8」の「環境に対する責任のイニシアティブ」です。私たちは、地球環境にやさしい企業グループになることをグループの目標としており、国際的な枠組み作りに積極的に取り組むと共に、中長期的視野から環境マテリアリティ・マトリックス等を活用して生物多様性確保に向けた取り組みを進めていきたいと考えています。
※2000年に当時のアナン国連事務総長が国連総会で行った演説の趣旨に沿って、2001年6月より「ミレニアム生態系評価」が開始された。世界95カ国から約1,360人の専門家が参加し、日本からは国立環境研究所が参加した。
第三者保証の充実と拡大
当社グループは、CSR統合報告書の環境パフォーマンスデータの信頼性を高めるために、独立した第三者による検証を受審し、本報告書に掲載しました。昨年に引き続き実施した当社佐倉事業所の審査では、新たにScope3のCO2排出量を対象に加え、データ管理状況や管理システム等を詳細に確認されました。その結果、修正が必要な指摘事項はなく、検証報告書が発行されました。また、6月には、当社鈴鹿事業所でのレビューを受けるなど、検証内容の充実と拡大を図っています。
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環境ISO認証取得
ISO14001の認証は国内14拠点、海外32拠点で取得しています。
フジクラ | 認証機関 | 認証取得日(初回) |
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フジクラ(本社、佐倉事業所、鈴鹿事業所、沼津事業所、グループ会社11社) | LRQA | 2000年 9月 |
フジクラ石岡事業所(グループ会社3社含む) | JQA | 2001年 12月 |
国内グループ会社 | 認証機関 | 認証取得日(初回) |
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西日本電線(グループ会社1社含む) | LRQA | 1999年5月 |
東北フジクラ | LRQA | 1999年6月 |
第一電子工業 | RB-ISO | 1999年11月 |
フジクラ電装 | J-VAC | 2000年10月 |
米沢電線 | J-VAC | 2000年10月 |
青森フジクラ金矢 | PJR | 2000年3月 |
スズキ技研 | LRQA | 2000年9月 |
沼津熔銅(金谷工場) | Intertek | 2001年9月 |
富士資材加工(本社/富士事業所/佐倉事業所/鈴鹿事業所ドラム工場) | J-VAC | 2003年2月 |
藤倉商事(本社/大阪支店/北関東支店/北九州支店/名古屋支店/那須営業所/北陸営業所) | LRQA | 2004年3月 |
フジクラソリューションズ | RB-ISO | 2004年8月 |
フジクラプレシジョン | LRQA | 2006年6月 |
海外グループ会社 | 国名 | 認証機関 | 認証取得日(初回) |
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Fujikura Electronics(Thailand)Ltd. Navanakom Factory 1 |
タイ | SGS | 2010年6月 |
Fujikura Electronics(Thailand)Ltd. Navanakom Factory 2 |
タイ | SGS | 2010年6月 |
Fujikura Electronics(Thailand)Ltd. Navanakom Factory 3 |
タイ | SGS | 2010年6月 |
Fujikura Electronics(Thailand)Ltd. Navanakom Factory 4 |
タイ | SGS | 2010年6月 |
Fujikura Electronics(Thailand)Ltd. Lamphun Factory 1 |
タイ | SGS | 2010年6月 |
Fujikura Electronics(Thailand)Ltd. Ayuthaya Factory 1 |
タイ | SGS | 2010年6月 |
Fujikura Electronics(Thailand)Ltd. Prachinburi Factory 1 |
タイ | SGS | 2010年6月 |
Fujikura Electronics(Thailand)Ltd. Kabinburi Factory 1 |
タイ | SGS | 2014年5月 |
DDK(THAILAND)Ltd. | タイ | TUV NORD | 1999年9月 |
Fujikura Automotive(Thailand)Ltd. Saraburi |
タイ | DQS | 2003年12月 |
Fujikura Automotive(Thailand)Ltd. Korat |
タイ | DQS | 2016年6月 |
Fujikura Federal Cables Sdn. Bhd. | マレーシア | SGS Yarsley | 2002年8月 |
Fujikura Asia Ltd. | シンガポール | LRQA | 2004年12月 |
Fujikura Fiber Optics Vietnam Ltd. | ベトナム | BSI | 2005年1月 |
Fujikura Electronics Vietnam Ltd. | ベトナム | BSI | 2010年9月 |
DDK VIETNAM Ltd. | ベトナム | SGS | 2013年9月 |
珠海藤倉電装有限公司 (平沙工場、上海分公司含む) |
中国 | BV | 2004年5月 |
広州藤倉電線電装有限公司 | 中国 | SGS | 2009年1月 |
藤倉電子(上海)有限公司 | 中国 | SGS | 2005年2月 |
第一電子工業(上海)有限公司 | 中国 | SGS | 2006年5月 |
江蘇藤倉亨通光電有限公司 | 中国 | TIRT | 2008年12月 |
上海上纜藤倉電纜有限公司 | 中国 | SAC | 2008年12月 |
長春藤倉電装有限公司 | 中国 | BV | 2011年8月 |
AFL Telecommunications, LLC | 米国 | TUV Rheinland | 2008年2月 |
Noyes Fibers System, LLC | 米国 | TUV USA | 2008年2月 |
AFL Telecomunicaciones de Mexico S de RL de CV | メキシコ | TUV Rheinland | 2007年10月 |
Fujikura Automotive Mexico S. de R.L. de C.V. (Piedras Negras : FAMX 1&2, Muzquiz: FAMX3) |
メキシコ | BSI | 2009年7月 |
Fujikura Automotive Paraguay S.A. | パラグアイ | AENOR | 2016年4月 |
AFL Telecommunications Europe, Ltd. | 英国 | AFAQ-EAQA (AFNOR) |
2003年3月 |
AFL Services Europe Ltd. | 英国 | UKAS Management System | 2011年3月 |
AFL Telecommunications GmbH | ドイツ | DQS GmbH | 1989年6月 |
Fujikura Automotive Romania, S.R.L. | ルーマニア | SC Aeroq Sa. | 2007年10月 |